6月の分配金で、インド株ETFであるEPIの分配金が非常に多かったことに触れました。
嬉しいことではあるのですが、何か異常であることは間違いないので何が起きているのか調べてみました。
何故こんなにも大きい分配金が実現したのか、可能性を1つずつ確認しました。
EPI (WisdomTree India Earnings Fund) の基本情報
何度か記事にしていますが、EPI (WisdomTree India Earnings Fund)は米国NYSE市場で売買されているインド株ETFです。
"WisdomTree India Earnings Index"という独自の指数をベンチマークにしており、収益性の高い企業を重視したポートフォリオにしています。
私はこのEPIをインドという市場に投資するならば有力な選択肢の1つと考えて投資をしています。
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EPIの分配金
2022年の6月期の分配金が異常値、と冒頭に書きましたが、前期までの10年間の分配金履歴は下図のようでした。
凡そ年間0.2~0.3USDで推移してきており、前々期から上向いて2022年3月期までのところで年間0.502USDを達成していました。
分配金利回りも約1%だった水準から上向いてきていたところでした。
これに今回の2022年6月期の分配金を追加しました。
縦軸のスケールが完全に変わってしまいました。
2022年6月期の分配金は1.845USDで、単純に年利回りに直すと24.9%になります。
実績年利回りとしても7.6%です。
前四半期の実績と比較すると約16倍になりました。
私は最初は0.1845USDの間違いだと思いましたが、実際にこの単価で分配金が振り込まれたので間違いではないようです。
それでは一体何が起きたのでしょうか。
分配金増の可能性として考えられること
今回の分配金についてニュースやTwitterなどから原因のヒントが無いかと調べてみましたが、特に何も見つかりませんでした。
WisdomTreeのQuarterlly Factsheetも見てみましたが、7/4現在でも2022年3月期資料のままとなっています。
そのため自分で思いつくところを確認してみました。
米ドル・インドルピーの為替レート
EPIはインド企業に投資する米国ETFですので、為替の影響を受けます。
日本円では円安ドル高になっていますが、ルピー高ドル安が急激に進めばドル建の分配金が増える可能性はあります。
そこでUSDINRの5年間チャートを確認しました。
5年前の1ドル64ルピー程度から今は1ドル78ルピーとなっており、最近もルピー安の傾向が続いています。
したがって為替レートがドル建分配金の激増に寄与することはなく、むしろ逆の方向性となっています。
構成銘柄の分配金の増加
続いて主要構成銘柄の配当金を確認しました。
これらの配当金が増えていれば、それがETF分配金に反映されたと考えられます。
2022年3月時点での構成銘柄TOP5は下記でした。
- 8.47% Reliance Industries Ltd.
- 5.92% Infosys Ltd.
- 4.57% Housing Development Finance Co.
- 3.72% ICICI Bank Ltd.
- 2.98% Tata Consultancy Services Ltd.
これらの企業の直近の年間配当金を過去2年間と比較しました。
上昇方向にはありますが、1,600%を説明出来るほどの上昇ではなさそうです。
6位以下の銘柄は調べていませんが、寄与度はどんどん下がっていくので現実的ではないと思います。
したがって配当金実績の影響ではないと考えられます。
資産の取り崩し
為替でも配当金でも説明がつかないとすると、EPIの資産そのものから支払われている可能性が残ります。
純資産総額の細かい履歴は追えなかったのですが、Quarterly Factsheetから2022/3/31時点のデータは確認出来たので、最新と比較しました。
2022/3/31 $mm 893.84 [Net Asset] ※Quaterly Factsheet参照
2022/7/1 $mm 771.03 [Net Asset] ※Yahoo! Finance参照
$mm 646.85 [Asset Under Management] ※Bloomberg参照
この四半期で資産が $mm 122.81(約166億円)ほど減少していました。
ただこの減少分はこの3か月間の為替の影響(75.91 → 78.95 [Rs/USD])と株価下落(SENSEXで約10%)で説明が付きますので、分配金による資産減少はまだ反映されていないと思われます。
一方で運用資産が$mm 646.85ですが、このETFの方針として最低でも総資産の95%は投資することになっているので、本来あるべき資産額は$mm 680.89です。
そのためETFとしては現金を持ちすぎている状態と見られ、その一部が分配金として支払われたと考えられます。
その狙いは分かりませんし、それでもまだ現金余剰の状態と思われるので今後の投資の動きには注視が必要です。
ちなみにEPIは今回の分配金が発表になった6/24に急落しています。
この値動きをこれもインド株を代表するETFであるINDA(MSCI India Indexに連動)と比較してみました。
6/24から一気に乖離しています
ここの下げ幅は約1.6USDであり分配金とほぼ同額ですので、分配金による資産流出が反映された株価になっています。
分配金は多くても決して得をしている訳ではない実証例の1つだと思います。
まとめ
EPIの異常な分配金はETF資産の取り崩しが原資になっている可能性があります。
そのため嬉しいことでもなんでもなく、何故そんなことが起きているのか今後のQuarterly Factsheetなどの情報を注視し、状況の把握に努めたいと思います。
とは言えまだAUMで$mm 646.85という規模で収まっているため、これ以上値下がりするようであれば資金を回すことを考えたいとは思っています。
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