8954 オリックス不動産投資法人を保有していますが、実は何故保有しているのか記憶にない銘柄です…。
私の投資方針としてREITの中で比較的景気に影響を受けやすいとされるオフィス系は避けているのですが、オリックス不動産投資法人は総合型ながら半数以上がオフィス用途です。
分配金利回りに惹かれて何も考えずに買いを入れたのだったかもしれません。
第40期資産運用報告が届いたので、この機会に内容を確認してみました。
オリックス不動産投資法人の概要
その名の通りオリックス・グループをメインスポンサーとしています。
2002年に上場した日本で最初の総合型REITで、オフィスビルを中心に様々な用途の不動産に投資をしています。
資産規模は6,932億円とJ-REITで第8位ですが、2019年以降は増資を行っておらず近年は物件の入れ替えによるポートフォリオの質向上に努めています。
直近では中長期的に安定的な需要が期待できる住宅を1物件取得し、将来的な競争力見通しを踏まえて商業施設1物件・オフィス2物件・住宅1物件を売却しています。
現在のポートフォリオ
オリックス投資法人のポートフォリオ構築方針と、実際の保有状況を確認してみました。
ポートフォリオの目安
オリックス不動産投資法人ではポートフォリオの構築方針ではなく投資の目安という表現をしています。
投資対象の目安としては
- オフィス :概ね50%±10%
- その他資産:概ね50%±10%
(商業施設・住宅・物流施設・ホテル等)
オフィスとその他で非常にシンプルです。
エリア別の目安もシンプルで、
- 首都圏 :概ね70%±10%
(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県) - その他 :概ね30%±10%
のみです。
カチッとした投資方針を決めるのではなく、総合型REITとしてマーケット環境を捉えた物件の入れ替えに自由度を持たせることで、収益性・安定性両面の向上を目指していることが伺えます。
実際のポートフォリオ
投資対象の配分は下図のようになっています。
その他の内訳としては物流施設の割合がやや低いです。
続いてエリア別の配分は
- 首都圏 :69.4%
- その他 :30.6%
と目安の通りになっています。
ちなみに首都圏の中でも
- 東京23区 :51.4%
- 東京都心6区:41.3%
(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区・品川区)
オリックス投資法人の稼働率
オリックス不動産投資法人の最新(2022年3月)の稼働率は以下のようになっています。
- オフィス:96.1%
- 商業施設:94.9%
- 住宅 :93.7%
- 物流施設:100%
- ホテル等:99.7%
- ポートフォリオ全体:96.9%
個人的にはホテル等の稼働率の高さに驚きました。
世の中は出張や旅行需要が強く戻っているんでしょうか。
住宅も他の住居主体型REITに比べてやや稼働率が低めですが、オフィス・商業施設も苦戦していそうですね。
やはりコロナの影響が~...などと言いたくなりますが、本当にそうなんでしょうか。
正直に言うと、私はイメージや伝聞でオフィス型・商業施設型が景気にされやすいと思っていますが、本当にそうなのかデータで見たことがありません。
オリックス不動産投資法人は古参REITとして約20年の歴史がありますので、この20年間の各用途の稼働率を調べてみることにしました。
1つのREITのデータのため一般化は出来ませんが、このREITとしての傾向は分かると思います。
各用途の稼働率20年データ
オリックス不動産投資法人のIR資料室から作成しました。
各用途別の傾向は以下の通りです。
オフィス:想定の通り、稼働率が景気の落ち込みに合わせて低下するようです
商業施設:安定した稼働率推移でしたが、コロナショックから稼働率低下が進んでいます
住宅 :2011年頃から稼働率が不安定になっていますが、震災以前からで要因不明です
物流施設:安定して稼働率ほぼ100%です
ホテル等:2010年末から1年半ほど不安定でしたが、ほぼ100%近くで推移しています
全体 :景気にある程度左右されますが、投資先分散で影響はそれほど大きくありません
物流施設の安定感が光ります。
ホテル等は想像していたより堅調で、これは保有ホテルの素性の良さもあるのではないかと思います。
また、コロナショック後はオフィス・商業施設の苦戦が進んでいます。
2021年末で底を打ったようにも見えますが、今後の動きは注視する必要がありそうです。
このREITに関してはコロナの影響を受けていると言えそうです。
オフィス・商業施設の今後
コロナショック後の低迷傾向から抜け出せていないオフィス・商業施設ですが、投資法人としては
- コロナ要因によるテナントの退去は一巡しつつある
- 稼働重視のリーシングにより今後の賃料収入の維持向上は可能と見込む
としています。
稼働重視という点は賃料単価は減少しても稼働率を重視するという方針です。
その観点でどういった物件を売却しているのか、ここ3年の稼働率も併せて見てみました。
オフィス・商業施設は高稼働率物件を売却していますね…
気になったので売却経緯を追ってみました。
1990年竣工のオフィスビルで上場時から保有していました。
築30年を超えており、競争力低下や修繕コスト負担を懸念し売却しています。
1991年竣工のオフィスビルで上場時から保有していました。
築30年を超えており、競争力低下や修繕コスト負担を懸念し売却しています。
立地もオフィスとしては競争力が劣るため、稼働率100%であるものの売却に至っています。
2002年竣工で、2015年に取得しています。
スポーツクラブに一括賃貸していたものの、2021年9月に退去したため稼働率が0%になり、テナント誘致を検討したものの空室の長期化や建物の老朽化を懸念し売却に至っています。
2006年築の分譲マンションです。
競合マンションの増加に伴い、15年という築年数・設備の陳腐化から稼働率が軟調に推移しているため売却に至っています。
以上のように、現在の稼働率が高くても将来の収益性に懸念があれば積極的に売却・入れ替えをしているようです。
その一方で今現在で稼働率が軟調でも保有継続している物件があるため、これらの将来性はまだあると見ているのか、入れ替えに進んでいるのかは気になるところです。
格付けとESGへの取り組み
オリックス不動産投資法人の主要格付けは以下の通りです。
高い格付けを安定的として評価されています。
またESGについても「ESG方針」を定めて推進していくとしており、GRESBレーティングで最高評価を受けるなどしています。
ただ大和ハウスリート法人のような熱量は感じません。
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あくまでもESGに配慮した経営をしていく、という方針のようです。
まとめ
オリックス不動産投資法人はオフィスをメインにした総合型REITです。
コロナショック以後はオフィス・商業施設はやや軟調な稼働率推移ですが、大きい資産規模と多様な投資先により全体の稼働率への影響を抑えています。
2022年初に稼働率の下げが底を打った感もあります。
近年はポートフォリオの質向上を目指した物件の入れ替えに注力して収益性の改善を図っていますので、資産規模と併せて今後更に安定していく可能性があります。
ただ都心に一極集中しているということは事実ですので、地震などの災害リスクは抱えています。
私としてはやはりオフィスは景気に左右されるということも分かり、積極的に買い増すことはしないつもりです。
しかしせっかく持っていますしある程度は安定していそうなので、売却は保留してオフィス系の総合型REITの経過を観察しようかと思っています。
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