私は株やREITをメインに投資をしていますが、債券も少し持っています。
少し前の話ではありますが、銀行で保有していた米ドルを寝かせているのも勿体ないなとふと思い、勢いで外国債券を買いました。
銘柄はその時に既発債券として売り出されていた"Cooperatieve Rabobank U.A"で、あまり検討せずに衝動的に購入してしまったため今更ながら発行体について調べてみました。
Cooperatieve Rabobank U.Aの概要
Cooperatieve Rabobank U.Aは通称Rabobankと呼ばれるオランダの金融機関です。
日本の農林中央金庫のような銀行で共同組合の原則を基本に運営されています。
正式表記はCoöperatieve Rabobank U.A.ですが、ここでは英語表記で統一します。
ちなみに日本語表記はコーペラティブ・ラボバンク・ウー・アーです。
オランダでは2番目に大きい銀行で、LexixNexisによると2021年時点で世界で44番目の総資産規模となっています。
また安全性を指標とするWorld's Safest Banksでも40位にランクしています。
オランダ国内に84のLocal Rabobankがあり、世界36ヶ国で事業を展開しています。(2021年現在)
2011年のデータではLocal Rabobankが139、世界47ヶ国での事業でしたのでこの10年で縮小していますね。
ただしこれは金融規制に対応するためにバランスシートの縮小を図っていたためで、健全な変化だと思います。
投資格付け
参考に日本最大の銀行である三菱UFJ銀行の格付けを並べましたが、Rabobankの方が信用度は高いです。
銀行としての特徴
Rabobankの目標
Rabobankはオランダで最も顧客を重視する銀行であり、世界を代表する食品・農業銀行になることを目標としています。
実際にRabobankについて調べてみると、"Customer"や"Customer-oriented"という言葉がよく含まれており、顧客志向を理念として全面的に打ち出していることが伺えます。
共同組合の原則からは当然なのかもしれませんが、応援したくなります。
またRabobankは2つの大きなMissionを掲げています。
オランダの銀行として、自国に貢献することを明確にしています。
- オランダの収益力
- オランダ家庭にとって最善のライフコースのサポート
- オランダの地域社会の生活環境
以上の3つを強化していくことで、明日のオランダに貢献していくとしています。
世界各国に展開しながらも、視点は全てオランダ・オランダ人・オランダ企業に向いており清々しいぐらいです。
オランダは農産物・食料品の輸出額で世界2位の国です。
Rabobankはこのオランダの地位に貢献し、世界中の農業・食料品セクターに大きく継続的に貢献し続けるとしています。
食料に誰もがアクセスしやすくし、食品産業の安定性を高めることで世界にも貢献していくということです。
ただしそれをオランダ農業・食品企業を支援することで成し遂げるということがポイントだと思います。
オランダの農業・食品産業
つまりオランダの農業・食品産業の将来性が大きく影響する企業ということです。
そこでその辺りについても少しまとめてみました。
オランダの農産物・食品の輸出額
国連の2019年の統計によると、農産物・食品の輸出額においてオランダは世界2位となっています。
1位のアメリカに比べて小さな国土しかない国がどのようにこのランクに位置しているのでしょうか。
オランダはヨーロッパの中央に位置しており、陸続きのEU各国に関税無しで輸出が可能です。
またライン川河口部にはロッテルダム港を抱え、海上輸出もしやすくなっています。
農産物輸出額には、他国から輸入した農産物を加工してその加工品を輸出する「加工貿易」や、農業が盛んな南欧から農産物を輸入し北欧に輸出する「中継貿易」が含まれています。
これらを除いた純粋なオランダ生産の農産物輸出は全体の約35%とされています。
オランダ農業の特徴
輸出額のカラクリなどと書いたものの、オランダが農業大国であることは間違いありません。
それを成し得ている要因はいくつかあります。
オランダは国土の4割強が農用地になっています。(日本は1割程度)
農用地面積自体は日本の方が2倍以上広くなっていますが、国をあげて農業に注力していることが伺えます。
- 花卉類(チューリップの球根など)
- トマト
- パプリカ
- キュウリ
- ジャガイモ
- 乳製品
etc...
といったものがあげられます。
チューリップはやっぱり特産品です。
オランダ農業は施設園芸が中核ですが、早くからその機械化・自動化が進められており、温度・湿度・日照状況・二酸化炭素量などを検知するセンサーを配置し、コンピュータで統合的に制御され調整しています。
これにより高品質な農産物が安定的に生産出来、例えばトマトの単位面積当たりの収穫量は日本の3倍以上とされています。
オランダでは鑑賞用を除いた施設園芸作物の栽培面積において、トマト・パプリカ・キュウリの3種だけで約8割になります。
これらは収益性も高く、また得意品目に集中することで農家のスキル・リスク管理能力の向上が図れるとともに、栽培・集荷・流通・販売までの一連の作業効率化や技術開発対象を絞り込む省力化が出来ています。
Rabobankの役割
オランダ農業についてつらつらと書いてしまいましたが、その中でRabobankが担う役割はもちろん融資です。
オランダは日本と異なり基本的に農業に対して政府の補助金がありませんが、毎年何かに投資することで税金が安くなるというメリットがあります。
そこで農家は常に新しいチャレンジを続け事業を成長させようとしており、銀行から必要な融資を引き出す必要があります。
それには事業計画を作って銀行の審査をパスする必要があり、定期的に事業進捗確認もあります。
そのためオランダの農家は経営能力が求められ、生産性やコストに対する意識が強くなっていきます。
Rabobankはそういった農業経営者に積極的に融資し、オランダの農業も更に発展していくというサイクルを作ろうとしています。
まとめ
オランダ農業は積極に投資を進めており、自由競争の厳しさにも曝されているため健全な市場原理で動いています。
そのような業界に融資を続けているRabobankは今後も安定して融資先を確保出来るのではないでしょうか。
格付けも安定的であり、債券の個別投資先としてCooperatieve Rabobank U.A (Rabobank) は選択肢の1つとしても良いのではではないかと思います。
【米国株の税金計算】為替差益の譲渡益税を計算してみた
保有していた米国株高配当ETFであるDHSを全て売却しましたが、 譲渡益税として(自分の感覚として)利益の約4割を支払うこと になりました。 円安の影響が直撃して 為替差益が出たことに起因 するのですが、 「俺はUS$で買付・売却をしているのに…そもそもそんなに利益出ていたのか…...
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿