米国ETF WisdomTree U.S. High Dividend Fund(ティッカーシンボル:DHS)は米国株に投資する中で、やっぱり高配当も欲しいなと思い投資したETFです。
SPYDなど有名な高配当ETFがある中でDHSを選んだのはSBI証券で買付手数料が無料だったからというだけです。
経費率などで劣るのにその選択はどうなんだという自己ツッコミももちろんありましたが、購入当時は細かく買っていたため買付手数料に負けました。
しかしながら2022/3/31を以てSBI証券の買い付け手数料無料銘柄から外れてしまいました。
そのためこのままDHSを持ち続けるのかを考えるにあたり、そもそもこのETFの中身がどういったものかを確認し直すことにしました。
DHSの概要
DHSは毎月分配型の米国株高配当ETFです。
そのため「配当を毎月欲しい!」という方にはお勧めです。
ベンチマークとしては"WisdomTree U.S. High Dividend Index"という独自の指数を採用しています。
この指数はWisdomTree U.S. Dividend Indexから選択した高配当利回り企業のパフォーマンスを測定する加重指数とのことですが、正直に言ってこの概要だけでは私のポンコツ頭ではよくわかりません。
そこで理解するためにもう少しWisdomTreeの資料を読み解いてみることにしました。
* WidomTreeのHPから私なりに要約していますが、正確さは保証し兼ねます。
解釈は原文が優先されます。
WisdomTree U.S. High Dividend Index の中身とは
独自に選んだ高利回り企業群で作った指数ということです。
High Dividend Indexの計算方法
WisdomTreeに載っている計算方法を参考に抜粋してみました。
まず指数の基本的な考え方です。
- 配当を支払っている投資可能な米国企業を選定(無配企業は含まれない)
- 計算に使う重み付けは市場全体の配当金額の中でその企業の配当金額が占める割合
- 来期の予想配当を同期の構成銘柄全ての予想配当の合計で割ったもの
- 予想配当は1株当たりの年間配当に発行済普通株式を掛けて計算される
- 指数は毎年再計算される
要するに配当の総支払金額が大きい企業ほど重視する指数です。
また、High Dividend Indexは2006年5月31日時点を200とされています。
続いて母集団となる企業を選定する条件です。
- 米国証券取引所に株式を上場していること
- 過去12ヶ月の間に定期的に配当を支払っていること
- 11月の最終取引日の取引終了後に少なくとも2億ドルの時価総額があること
(DIの母集団は1億ドルが基準だが、更に厳しい基準を適用) - 1日の平均取引額が20万ドル以上であること
(DIの母集団は10万ドルが基準だが、更に厳しい基準を適用) - 普通株、REIT、トラッキングストック、持ち株会社が対象
- WETF(WisdomTreeそのもの)は除外
- リスクのある企業を除外(独自に評点を付けて下位1/10を除外)
- Quality : ROE/ROA/売上総利益/キャッシュフローにより決定
- Momentum : リスク調整後のトータルリターンより決定
- 配当利回りで上位30%に含まれる企業
- 配当利回りで上位35%から漏れた場合、対象から除外される
この独自性の選定部分は詳細書いていませんでしたが、ここは信じるしかないかもしれません。
計算式は以下の式が使われており、配当が多くて時価総額が大きい企業を重視した指数であることが確認できます。
この指数は取引時間中においては常に計算されています。
特定の企業の影響に偏らないように重み付けにいくつか制約が課されています。
- いずれかの企業が24.0%以上の重み付けになった場合、20.0%まで減少させて他の企業に比例配分する
- 重み付けが5.0%以上の企業の合計が50.0%を超えた時、40.0%になるように減少させてその他企業に比例配分する
- いずれかのセクターが25.0%以上の重み付けになった場合、25.0%になるように比例減少させる
- 不動産セクターは5.0%までに制限される
不動産セクターの制限はREITの影響を抑えるためかと思いますが、全体的になるべく特定のセクター・企業に集中しないようにルールが決められています。
High Dividend Indexの構成企業
ここまで確認してきた考え方から選定された企業群を見ていきます。
上位企業の確認をしようとしましたが、WisdomTreeのHPからは金融関係者だけが概要を確認出来るとなっていたためYahoo! Financeを参照しました。
上位5社で全体の25%強になったので、それらの企業を並べてみました。
セクター:生活必需品
構成比: 5.72%
配当利回り:5.01%
ご存じの方も多い世界有数のたばこメーカーです。
2020年の売上高では世界第3位です。
健康被害でやり玉にあがることが多いたばこ産業ですが、Phillip Morrisは「煙のない社会」の実現を目指していくことを掲げています。
紙巻たばこ全てを「煙の出ない製品」へ切り替えることを目指して変革を推進していくとしているので、リーディングカンパニーとして社会を変えていけるか注目です。
セクター:生活必需品
構成比: 5.52%
配当利回り:6.43%
No.1の構成比率だったPhillip Morris系のこちらも世界有数のたばこメーカーです。
どちらもアメリカ企業ですが、Phillip Morrisはアメリカ国外での事業、Altriaはアメリカ国内事業を担っています。
Phillip Morrisとは別会社ではあるのですが、元々は同一グループで最近も統合の話があったというような関係性ですので、DHSは同一視できそうなタバコメーカーで10%強を占めていることになります。
セクター:ヘルスケア
構成比: 5.36%
配当利回り:5.64%
2021年では世界第4位の売上高を誇る製薬会社です。
Abbot Laboratoriesの研究開発医薬品部門が2013年に分離独立して設立された比較的新しい会社ですが、他医薬品企業の買収も積極的に実施し、世界70ヶ国以上に拠点を持つ巨大企業になっています。
セクター:ヘルスケア
構成比: 5.12%
配当利回り:3.30%
2021年は世界第8位ですが、前年2020年では世界第2位の売上高を誇る製薬会社です。
コロナワクチンで更に有名になっていますが、元々は近年新薬開発がうまくいっておらず苦しい経営になっていると言われていました。
第8位への後退は特許切れ薬事業の分離の影響ではありますが、そもそも稼ぎ頭の薬の特許切れもあり経営体制が見直されていました。
コロナワクチンがどのように業績に影響してくるかは注目です。
セクター:テクノロジー
構成比: 4.38%
配当利回り:3.08%
アメリカの通信機器メーカーの1つで、コンピュータネットワーク機器開発会社として世界最大手です。
業務用通信機器の製造・販売が主な事業で、ルータ市場では圧倒的なシェアを維持しています。
主に企業向けにネットワーク技術を基軸にしたインフラ周りを網羅的に提供しているため一般的には馴染みが薄い可能性がありますが、企業向けでは圧倒的な事業規模です。
この後の6位以下もVerizon、AT&Tとテクノロジー企業が続きますので、生活必需品(の中のたばこ)・ヘルスケア・テクノロジーのセクターの比重が大きい構成となっています。
高配当という前提条件での銘柄のため、配当性向が高めのセクターに集中してしまうのは仕方のないところではありますが、分散を重視するようであれば不十分である可能性があります。
まとめ
WisdomTree独自の選定方法により厳選された高配当株による指数であるWisdomTree U.S. High Dividend Indexに連動したETFです。
Indexは時価総額・流動性・リスク除外を考慮しながら配当総額の大きな企業の重みが大きくなる計算がされています。
結果的に生活必需品・ヘルスケア・テクノロジーセクターの比重が大きくなっていますが、アメリカの高配当株に広く投資するという観点では1つに集中するよりも分散されています。
また毎月配当ですので、頻度高く配当を受け取りたい方には適した選択肢となっています。
私自身の判断としては、買い増しは予定しませんが売却は保留と考えています。
銘柄選定の考え方としてはおかしいとは思わなかったためです。
一方でSBI証券の買付手数料無料銘柄として、高配当ETFとして有力なSPYDが入ってきましたので、乗り換えるかは検討したいです。
急ぐことなくSPYDの中身を調べてみてから考えたいと思います。
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