3278 ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 は居住用施設をメインとしつつも総合型REITに位置づけられるJ-REITです。
その第20期資産運用報告が届いたので、保有継続するか考えるためにも自分なりに銘柄情報を確認してみました。
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人の概要
元々住居特化型REITとしてスタートしていますが、2018年にジャパン・シニアリビング投資法人と合併し、ヘルスケア物件への投資を開始しました。
現在ではヘルスケア施設28施設に投資しており、取得価格ベースでも2割を超えています。
私としては今後の日本は葬儀場とヘルスケア施設が間違いなく需要が旺盛な市場と見ているので、この手の広げ方は面白いと感じています。
現在のポートフォリオ
構築方針としては、居住用施設60%以上・ヘルスケア施設30%以下・その他10%以下としており住居特化型の名残を残しています。
また地域としては東京経済圏に50%以上、その他に50%以下と、東京経済圏を重視する配分となっています。
また今後、ヘルスケア施設に加えて保育施設・学生寮へも投資していき、社会課題の解決や人材育成にも貢献していくという方針を打ち出しています。
いずれも安定的な需要を確保出来る物件と考えられ、長期的な運用を謳っている銘柄として、堅実な物件への投資を幅を広げながら実施していくものと思われます。
ポートフォリオの中の不思議な物件
この安定志向のポートフォリオの中で、宿泊物件が2件だけあります。
具体的な物件名は以下です。
- ホテルリブマックス東京大塚駅前
- ホテルリブマックス横浜駅西口
いずれもリブマックス系列のホテルを所有しています。
たしかにポートフォリオ構築方針によると宿泊施設も投資対象にはなっているものの、基本方針では2つの投資対象として居住用施設とヘルスケア施設が明確に挙げられています。
それではどのような経緯でこれらの宿泊施設は取得されたのでしょうか。
取得経緯を追ってみますと、これら2件はどちらも2020年に取得されていました。
その時のリリース(pdf)
取得理由としては
「本投資法人は、「人が居住・滞在する空間」である賃貸住宅等の居住用施設、老人ホーム等のヘルスケア施設及びホテル等の宿泊施設の3つのアセットタイプへの投資を行います。」
とだけあり、他の説明は見当たりませんでした。
重ねて書きますが、現時点の投資基本方針は2つのアセットタイプへの投資であり3つではありません。現在の基本方針に従うのであれば、取得しないはずの物件です。
しかし当時の方針がどうにも確認出来ないので、もしかしたら当時は3つを対象にしていたのかもしれません。
今となっては正解は分かりませんが、取得金額や前所有者は調べるとある程度は出てくることが分かったので整理してみました。
前所有者は2件とも"合同会社KHF4"という法人で、
東京大塚駅前:2019/4/12
横浜駅西口 :2019/1/31
にそれぞれの物件をKFH4から買い取っています。
このKFH4ですが、2018/4/24に法人番号指定し、2020/12/20に閉鎖していました。
穿った見方をすると、この企業はリブマックスホテル取得前に設立し、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人に売却した後に閉鎖したのではないかと考えてしまうタイミングです。
そこでさらにKHF4のホテル売買を追ってみると、東京大塚駅前の物件のみ取得価格を確認することが出来ました。
取得価格:22億円
売却価格:23.9億円(ケネディクス・レジデンシャルの取得価格)
1年程度で1.9億円もの利ザヤを得ている計算になります。
KHF4としては実に羨ましい投資だったと思うのですが、価値が上昇する予見が何かあったのでしょうか。
もし横浜駅の物件も同じように利ザヤを得ているようだったら、どういう会社であったのが俄然気になるところです。
まとめ
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は住居特化型を軸にした、稼働率は概ね97%と安定したREITです。
格付けもJCRから"AA-"を取得しており、安定性が売りの1つであることは間違いないと思います。
一方で、宿泊施設取得に示唆されているような「素人にはちょっとよくわからないお金の流れ」を見ると、動向には少し注意した方が良いようにも考えてしまいますが、それも納得された上で投資すれば良いかと思います。
私自身としてはしばらくは大きく値崩れしない限りは様子見です。
あれこれ気にしていますが、稼働率の高い住居特化型REITとして機を見て投資したい銘柄でだとは思っています。
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