3455 ヘルスケア&メディカル投資法人 はその名の通りヘルスケア施設主体型のJ-REITです。
その第14期資産運用報告を基に、どういった中身のREITであるのか自分なりに読み解いてみました。
ヘルスケア&メディカル投資法人の概要
超高齢社会となっている日本において、将来的にまだまだ需要の増加が見込まれるヘルスケア市場へ集中投資している現在唯一のJ-REITです。
住生活基本法に基づいて国土交通省が2021年3月に策定した住生活基本計画(全国計画)において、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合(充足率)を2030年に4%まで引き上げる成果方針が掲げられており、政策としてもヘルスケア施設の整備・拡充が推進されています。(2018年時点では2.5%)
この政策の後押しを受け、今後も安定して拡大していくであろうと考えられます。
現在のポートフォリオ
構築方針として、三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)+中核都市圏(政令指定都市・県庁所在地・地方中核市)で80%以上を保有としています。
今期の資産運用報告でも三大都市圏で82.8%と報告されています。
しかしもう少し細かく見てみると、中部圏の割合は1.6%に過ぎず、首都圏+近畿圏だけで81.2%にのぼることがわかります。
これは構築方針の想定よりも偏ったポートフォリオになっているのではないかと思います。
ちなみにこれを都道府県別に整理してみると、
となり、上位3県で投資比率が6割を超えます。
大阪が物件数の割に比率が高いのは「シップ千里ビルディング(千里中央病院・ウエルハウス千里中央)」だけで16.5%を占めているからです。
この物件の業績が与えるインパクトが大きくなってしまっています。
一方で、近年のリスクとして声高に叫ばれている南海トラフ地震のリスクから考えると、東海・中京・四国の比率が少ないのはやや安心材料かもしれません。
物件種別としては、ヘルスケア施設以外を20%以下組入れるポートフォリオ方針となっています。
しかしながら現時点で「その他」の物件は存在せず、100%ヘルスケア物件です。
ヘルスケア&メディカル投資法人の魅力と将来見込み
このREITの一番の魅力は稼働率の高さからくる安定性です。
2015年3月にスタートしていますが、全体稼働率はほぼ100%を維持しています。
2019/2~10月、そして2022/2~現在において99.9%となっていますが、ほぼ100%と言って差し支えないと思います。
コロナ禍などものともせずに安定したパフォーマンスを発揮していますので、今後もその継続を期待したいところです。
格付けもJCRから"A"を取得しており、安定性が評価されています。
将来に目を向けますと、期日は設定していないものの、中期的には1,000億円の資産規模を展望しています。
現時点の資産規模は784億円であり、ここからはまだ200億円強の拡大が必要です。
しかしながら、3455は増資を繰り返してきた歴史があり、既に2015年対比で約3.3倍の規模としてきた実績があります。
実際に今期も公募増資を実施し、10物件(114億円)を取得しています。
このことを考えると、遠からず資産規模1,000億円という目標は達成できるのではないかと思います。
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