2022年6月30日木曜日

【日本株】2613 J-オイルミルズ - 大幅減配の要因を損益計算書から考える

2613 J-オイルミルズから期末配当金を頂きました。

1株当たりの配当金は25円で、200株保有しているため5,000円(税引き前)になりました。

しかし現在のところこの株は私が持っている株の中でも絶不調の部類に入る銘柄なので、状況を確認してみました。


目次


J-オイルミルズの基本情報

J-オイルミルズは2004年に味の素製油・ホーネンコーポレーション・吉原製油が合併して誕生した食用油脂の国内大手で、日清オイリオグループと共に油脂業界の2強に位置づけられます。

売上高の約9割が油脂事業で、主に海外から穀物を輸入して油脂と油糧の2つに加工・販売しています。

タイ・マレーシアにも拠点を持っており、ASEANへの事業展開も図っています。


私は特に意識せずここのオリーブオイルを買っていたことに気付き、応援しようかと思って購入した経緯があります。
食品企業は概ねそのような流れで保有しています。


J-オイルミルズの株価と配当金

直近の株価、配当金利回りは以下の通りです。

株価1,597 円
PER44.02
PBR0.56
配当利回り3.13%
売買単位100株
(6/29終値ベース)

配当利回りは今期の実績配当利回りです。
来期は一気に下がります

株価の推移は下図のようになっています。

業績の悪化もありこの1年は下げ続けています

上図はここ10年の株価推移を示していますが、更に前の2006年には株価は3,680円を付けており、現在はその半分以下となっています。


配当金の2010年以降の推移は以下のようになっています。
2022年が今期の実績、2023年は来期予想です。

2010年以降の年間配当額
※株式分割の調整額

10年以上続いていた安定(むしろ増配方向)からまさかの大減配予想でした。

何が起きたのでしょうか。


J-オイルミルズの今期の業績と今後

来期の減配予想からも想像出来ると思いますが、J-オイルミルズの今期業績は大幅減益となりました

営業利益が▲0.2億円と、昨期の+66.8億円から一気に本業で稼げなくなってしまいました

この要因を通期決算から追ってみました。


 大幅減益の要因は何なのか

今期の大幅減益の要因ですが、J-オイルミルズとしては

価格改定と継続的なコストダウンを進め収益基盤の強化に努めたが、急激な原料価格高騰の影響を吸収できず、大幅減益

としています。(2022年3月期 通期決算概況 資料より抜粋)


つまり原料価格の高騰が原因と明確に書いている訳ですが、Yahoo!ファイナンスの掲示板には

  • 同業種は好調な中でここだけ下げている
  • 日清オイリオは好調で株価も上がっている
  • 経営責任ではないのか

といったコメントが書かれています。

同じ事業環境なのに日清オイリオはうまくやっているではないか、ということです。


そこで実際のところはどれだけ違うのか、二社の業績を比較してみました。

*私は財務分析は素人のため正しくない可能性があります。
 素人が数字を見た感想と捉えてください。


 日清オイリオとの比較 ~売上高と営業利益率

前年度の実績を含めて比較しました。

日清オイリオJ-オイルミルズ
2020年度2021年度2020年度2021年度
売上高336,306432,778164,816201,551
営業利益12,32411,6706,687-21
営業利益率3.7%2.7%4.1%
(単位:百万円)

売上高は日清オイリオが2倍ほどあるものの、昨年度の営業利益率はJ-オイルミルズの方が高かったようです。

しかし今年度では、日清オイリオはやや減益も利益はしっかり確保した一方で、J-オイルミルズは一転して損失を出すに至っています。

日清オイリオが好調と言えるかは微妙だと思いますが、結果としては差が出ていました。
そこでもう少し利益構造を確認してみました。


 日清オイリオとの比較 ~売上総利益の変化

先ほどの比較から、いずれも売上高は大きく増えていることが分かります。

これは販売増もあるとは思いますが、原料価格高騰の販売価格転嫁、つまり値上げの影響も大きいと思われます。
原料価格高騰は売上原価に反映されますが、それを適切に値上げ(売上高)に繋げているかを確認しました。

日清オイリオJ-オイルミルズ
2020年度2021年度増減2020年度2021年度増減
売上高336,306432,778+96,472164,816201,551+36,735
売上原価275,916375,791+99,875130,828175,360+44,532
売上総利益60,38956,987-3,40233,98826,190-7,798
(単位:百万円)

上表を見ると日清オイリオは売上原価の増分と売上高の増分がほぼ等しいのに対し、J-オイルミルズは売上原価の上昇の方が大きく、それが売上総利益の低下の要因になっています。

つまり値上げを抑えている可能性があり、それが業績悪化の一因となっています

消費者としてはありがたいのですが…。


 日清オイリオとの比較 ~売上高販管費率の変化

次に経費効率の比較として売上高販管費率を比較しました。

これは売上高の中で販売費および一般管理費が占める割合を指し、低い方が販売効率良く売上高を増やしているということになります。

日清オイリオJ-オイルミルズ
2020年度2021年度2020年度2021年度
売上高336,306432,778164,816201,551
販売費及び一般管理費48,06545,31727,30026,212
売上高販管費率14.3%10.5%16.6%13.0%

いずれも昨年度よりも売上高販管費率は良化していますが、日清オイリオは10.5%という水準にまで達しています。

ご参考までに、食料品業界の売上高販管費率の平均値は約28%、中央値は約26%となっていますので、日清オイリオのレベルは驚異的に低いと思います。

10.5%という水準をどのように達成しているかは分かりませんが、仮にJ-オイルミルズの売上高販管費率が10.5%だったと仮定した場合、営業利益は50.9億円程度となり、営業利益率も約2.5%になる見込みです。
日清オイリオの営業利益率とほぼ同じになり、売上高販管費率の重要性が分かります。

ただJ-オイルミルズの売上高販管費率も決して高い訳ではないので、日清オイリオがただ凄まじいと思っています。
この指標の改善が現実的だとはあまり思えません。


まとめ

J-オイルミルズは食品油脂の大手企業ですが、今期は大幅減益となりました。

競合の日清オイリオグループに比べて経営努力が足りないといった掲示板コメントも散見されますが、

  • 原材料高騰を販売価格に反映し切れていない
  • 日清オイリオの売上高販管費率が驚異的に低い

といったことが要因の可能性があると考えられ、短期的には解決できないと思います

業績改善には将来的に原材料高騰が解消、もしくは販売価格の値上げといったことが必要となると考えられますが、現経営陣がどのような舵を切るか注視する必要があります。


来期の予想配当利回りは1.25%にまでなりましたが、配当性向は50%を予定しており、なおかつ今回は紹介していませんが200株以上の株主には株主優待があるので、いずれ事業環境と業績が回復することを見越しながら持っておくというのは1つの考え方だと思います。

私はそれに則りとりあえず現状維持を考えていますが、マイナス材料に耐え切れず売却してしまうかもしれません。


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